小型船の計画と設計
 
船の設計の依頼を受けたとき、一番大事なのはどのような船を作るのかということを正確に把握することです。
 そして船を使用する現地を十分に調査し、現在使用している船があれば実際に乗ってみて、漁船であれば操業に立ち会うことが必要です。 それから一般配置図を作成するわけですが、同時進行で総トン数計算や性能計算、電力計算や換気空調とか容量を確認しながら配置を決定していきます 船の性能を把握してないとプロペラや軸系寸法、燃料の搭載量必要な諸機器が決められないし、なによりスピード計算は楽しいものです。  そして図面で表されない仕様を文章にまとめたもの、要目表とか仕様書も作成します。  もちろんJGとかJCIとか検査に必要な項目も確認します どういう船になるか説明するのに一般配置図によるわけですが図面はなれないとわかりにくい面もあるのでイラストを作成することもあります。 旅客船やクルーザーではまずイラストを書いてから設計に入るケースも多くあります。 
イラストかくのは一番楽しいしよろこんでもらえますね(^ ^)。

船を建造するのに必要な図面や書類のことを図書といいます 承認図書・・建造用図書・・完成図書・・・。
とりあえず基本になる図書をあげてみます。 

一般配置図、中央横断面図、船体線図、排水量計算書、重量重心トリム計算書、復原力計算書、部材配置図、船体強度計算書、舵構造図/計算書、諸室装置図、甲板艤装図、空調換気装置図、機関室全体装置図、速力馬力計算書、軸系装置図、諸管装置図、電力調査表、電路系統図、電気機器配置図、航海装置図・・・・etc。
建造に当たってはこの他にもいろんな詳細図や機器のメーカー図等たくさんの図書が必要です。

小型船ではいくつかの図面をひとつにまとめて書き込んだり 役所に出さなければ計算書はパソコンの中だけ、などで実際に作成するのは少なくてすみます。  まあ、一般配置図1枚で船つくり上げるなんてあらわざもあり??・・・・でも、やはりパソコンの中だけでいいけど、きちんと設計された船があんしんですね。

作業は大変ですが やはり一生懸命設計したふねはいい船になります。 ま、進水のときの緊張は何隻やっても変わらないですが。

とりあえず設計の流れです
(ここではアルミ船の場合を例としました。)

最初に作成するのが一般配置図です 
これを描くときが一番楽しいですね
部材配置図で全体の構造を決めます。 AutoSHIPで各断面の形状を得てすべての
縦、横の断面について部材を作成します
船型は一般配置等のCADデータをもとにAutoSHIPで作成します おなじみの船体線図ですが役所に提出する
とき等以外は作成しません
AutoSHIPデータを曲面の流れににあわせて
板割をして、ShipCAMで展開して外板の形状
を作成します。



NC切断するのであれば ネスティングした
データを切断のための処理をしてNCコード
に変換のうえNC機にかけます。 

NC切断を使用しない場合は プロッターに より原寸のフィルムを作成して部品の形状
を材料板に写してから鋸等でで切断します
ブルワーク外板を展開してフィルムに出力した
もの。下は曲げ型をフィルムに出力したもので
適当な木材でトンボを作って、板曲げをすると
曲面にぴったりあった外板ができる。     
隔壁やフレーム、ブラケットなど作成した
部材(部品)をおなじ板厚ごとにまとめて
ネスティングします。  このとき工程に
合わせてグループをまとめます。
 
プロペラ軸系の寸法と主機台です 主機台は
厚いのでこのままフィルムにより切断します
甲板室一式です 曲面の板なども展開して
このまま切断できるように部品を作ります
マストです グースネックやポータルなど必要
な部品もCADで作成したフィルムで製作します
以上、かけあしでアルミ船の場合の設計の概要を説明しましたが、フィルムにあわせて部材を切って、フィルムにあわせて組み立てることになるので、現場でスケールを使って寸法を取るということが少なくなります。 
設計図どおり、正確に船が出来ることになります。 設計がまずくてもそのままできてしまいますが (- -;   
それと寸法も50や100といったキリのいい数値にする必要がないので状況によって甲板間の高さは1802.4とか平気でやってしまいます。(いいのかわるいのか・・・・)  
FRP船の場合は成形型(メス型)の作成をフィルムによっておこなうことになりますが設計作業の基本はおなじです。
 それぞれの材料の特質にあわせた設計をすることは絶対に必要ですが。
アルミ船建造の実際へ。
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