JET THRUSTER 試験レポート

平成11年6月1日

目 的
船の離着岸時、また漁船の操業時等船体を横方向に動かすことが出来るサイドスラスターは非常に便利だが、装置も高価であり、またスペース等の関係で装備も難しい場合、通常のポンプを使用して海水を噴射してその反動をスラスターとして利用できないかとかんがえる。現実にホースから水を噴射したときの反動や消防のノズルの反動を思い起こせば実用できるのではなかろうかとおもえる。
またその時、水を水中に噴射したほうが実態のない空中に噴射するより推力が大きいのではないかなどの疑問があった。
そこでポンプからの水噴射による推力発生装置をJET THRUSTERと名づけその性能を検証する実験を計画、実施して見た。
まず、5PSのエンジンポンプを伝馬船に搭載して実験しある程度予想していた程度の推力が得られることを確認したが、さらに
実用的な結果を得るために以下のとうり実験を実施した。



ポンプによる水噴射の推力の計算
水噴射による推力はポンプの能力とノズルの直径によって決る。通常、渦巻ポンプを使用した場合性能曲線上の最大流量の点で
作動するようにノズルを決めると最大の静止推力がえられる。

 


Q    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・総流量(t/sec)
H2T :水圧   ・・・・・・・・・・・水頭 (m)
配管等の損失を差し引いたもの

ρ=104kg・sec2/m4・・・・・・・水の密度
g=9.8m/sec2     ・・・・・・・・・重力の加速度

Vj= √(19.6×H2T) ・・・・・・・流速
Aj = Q/(3600×Vj ) ・・・・・・・噴流の断面積(m2
Dj = 2000√(Aj /π ) ・・・・噴流の直径  (mm)
DN=1.1
×Dj ・・・・・・・・・・・・・ノズルの直径 (mm)
Tr = 104×Q ×Vj /3600 ・・・・推力(kgf) 

 

検 証 実 験

試験方法

伝馬船にポンプを搭載し、空中および水中に切替えられるようバルブとノズルを設置して船尾より空中または水中に水を噴出する。この状態で岸壁より取ったもやいロープと天馬船の間に秤を装備し静止推力を計測する。なお静止推力を計測するので伝馬船は航走することはないのでポンプの電源は陸上よりケーブルで供給し、また安定性確保のため両舷に浮体を装備した。

 

使用ポンプおよび計算値
電動竪型渦巻きポンプ(大晃ポンプ製
EMC200
最大吐出量  :300t/Hr
全水頭      : 20m
電動機出力   :  26kw
下記のポンプ性能曲線より最大の静止推力を得られる動作点をもとめそのときのノズル径を算出した。

 

ノズル径  : 80φ
噴流径   : 75φ
静止推力  :160kgf
圧 力   :1.8〜2.0kg/cu

 

 

 

 


水中に噴出中


試験結果

試験の結果、

@ 水流を水中に噴出することにより
  最大推力   :140kgf

  水  圧   :1
.
kg/cu
 

A 水流を水中および空中に噴出することにより
  最大推力   :110kgf

  水  圧   :0
.
kg/cu
 

B 水流を空中に噴出することにより
  最大推力   :160kgf

  水  圧   :1
.
kg/cu
 

を得ることができた。
空中に噴出するのが損失が無く計算値の

160
kgfを得ることができた。

この結果により実船においてもこのシステムを
採用した場合ほぼ計算どうりの静止推力を
得ることができることがわかった。

 

 

 


空中に噴出中 ベストの状態



空中に噴出中 はかりが160kgfを示す


装置全体

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