PC現図によるFRP漁船の建造

従来、船を作るときは設計図面から寸法を読み取って、現尺現図を作成していました。すべての部品はこの現図から形状を写し取り実際の大きさのものを製作します。しかし現図は広い場所が必要で手間もかかります。また図面から拡大するときに誤差が生じます。なによりこの現図を書く熟練した職人が非常に少なくなってきています。 
中大型船などではコンピューターを使用して現図を作成し、NC切断機で部材を切断することが主流になっています。弊社においても小型船でも
アルミ船は本HPで紹介するようにパソコンによる現図(PC現図)からNC切断ないしは原寸フィルムによって部品を作成建造するやり方を薦めています。FRP船の場合も当然同じ方法が可能です。
FRPの場合船体積層にメス型を使用します。Auto-shipにPC現図から板厚や型の構造を考慮したうえで型のフレーム等の原寸フィルムを作成し、これにより成形型(簡易メス型等)を作成することができます。また同様に各部の船体データから隔壁や構造部材の外形を得ることができます。
このようにPC現図によって現尺現図無しで迅速にFRP船の建造が可能になります。

今回は、山口県萩市の萩造船所のご協力により、PC現図によるFRP船の建造の様子を紹介いたします。

 


小型FRP漁船の設計から現図、成形型作成までの様子です。

全長14.8m、小型漁船の一般配置図です。 概略船型を決めてAuto-shipで船型を仕上げます。
Auto-shipでフェアリングが完了しました。 CAD上で各断面位置の成形型のフレームを作成します。

プロッターで原寸の型フレームをフィルムに出力します。 途中が抜けていますが、型は完成して内部仕上げ中です。
型の船尾側の状況です。 型の船首側の状況です。ベベルもあっています。
成形型全体です。船体は甲板室も乗っています。 船首甲板。フラッシュハッチです。



完成です。 型の工期が短縮され設計どうりの正確な船体で速力も32kt!

 

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